福祉作文コンクール

当財団では、神奈川県社会福祉協議会と神奈川県共同募金会が主催する、小・中学生を対象とした「神奈川県福祉作文コンクール」を後援しています。
この作文コンクールは、次世代を担う子供達が助け合いや思いやりの心を育み、誰もがお互いを支え合う 「ともに生きる福祉社会」が実現するように願い、毎年行われているものです。
地区審査から県1次審査を経て、県最終審査で選考された最優秀賞16編(小・中学校各8編)の内それぞれ1編を当財団理事長賞として『日揮社会福祉財団ふれあい賞』の名称で表彰しています。
2025年度(第48回)の表彰者と作文を紹介致します。
神奈川県福祉作文コンクール紹介ページはこちら>>

 
『日揮社会福祉財団ふれあい賞』
小学生の部   「ぼくのお兄ちゃん」
   小田原市立山王小学校 五年 我妻 遼哉 さん
中学生の部   「教科書じゃ学べなかった福祉」
   大井町立湘光中学校 三年 藤澤 優羽 さん

小学生

小学生の部
「ぼくのお兄ちゃん」
小田原市立山王小学校
   五年 我妻 遼哉

 お兄ちゃんとは、自分よりもできることが多く、しっかりしている人と思っていました。
だけど、ぼくのお兄ちゃんは想像していた姿と少し違っています。なぜなら、ぼくやぼくの弟が話しかけても返事をしないでビデオをずっと観ています。ひとりごとも多いです。またゲームをする時間の約束が守れなくて母にいつも注意をされています。ぼくも約束を守れなくて叱られることがありますが、次からは気をつけようとしたり紙に守ることを書いたりしています。しかしぼくのお兄ちゃんは同じことをくり返し言われていることが多いです。また、ぼくのお兄ちゃんはわからないことをぼくによく聞いてきます。お兄ちゃんなのに弟のぼくに聞くのはおかしいと思うしイヤだと思うこともあります。こんなぼくのお兄ちゃんは、自閉症スペクトラムという障害があると母が教えてくれました。
 ぼくは、障害とは何かよくわからないので、障害についての絵本を読みました。障害とは、生まれつき脳の働きに違う所があってみんなとは違う指令がでることがある、と書いてありました。周りの人よりも成長がゆっくりということや困ったことも多いということも知りました。
 ぼくは、この本を読む前は障害のある人はみんなと違う所やできない事も多くかわいそうという気持ちがありました。しかしその考えは違いました。障害をもっている人も自分が大好きで色々なことをがんばっているとわかりました。だからこれから障害のある人と出会った時はできないことをおしつけないでやさしくがんばれと言ってあげたいです。ぼくもお兄ちゃんと一緒にいるとけんかばかりでいやだと思うことも多いですが大切な家族です。家族が困っている時は助けたり力になってあげたいです。

中学生

中学生の部
「教科書じゃ学べなかった福祉」
大井町立湘光中学校 
 三年 藤澤 優羽

 今年の夏、父が働いている老人ホームに、ボランティアとして行くことになった。きっかけは、父から一度来てみないかと声をかけられたことだった。最初は少し戸惑った。父の職場に行くのは気恥ずかしかったし、高齢者とどう接すればいいのか分からなかった。けれど、少しでも人の役に立てるならと思い、思い切って参加することにした。施設に入ると、冷房の効いたロビーに、どこか懐かしいような香りが漂っていた。スタッフの方に案内され、いくつかのグループに分かれて、お年寄りと過ごす時間が始まった。私が担当することになったのは、ほとんど言葉を話さないという、車いすの男性だった。
「この方は耳が少し遠くて、最近は言葉も少なくなっていて。でも、手を握ってあげると落ち着かれるんです」スタッフの方がそう言って微笑んだ。私は正直、戸惑った。ただ手を握るだけでいいのだろうか。それで意味があるのだろうか。でも、目の前のその人にとって、それが必要な時間なのだと思い、そっと手を差し出した。彼の手は少し冷たく、細くて、でも少し力がこもっていた。ゆっくりと手を握り返してくれたとき、不思議と胸がじんとあたたかくなった。何も言葉は交わしていないのに、ありがとうと言われたような気がした。そして私の中に、それまで感じたことのない感情が湧いてきた。誰かの存在をそばで支えるということは、特別な技術や言葉がなくてもできるんだ、と気づいた瞬間だった。その後、何度か施設を訪れた。行くたびに、その男性は私の顔を見ると少しだけ笑ってくれるようになった。話せないけれど、目や表情で気持ちが伝わるということを初めて実感した。ある日、施設に行くと、その男性の姿がなかった。職員の方から
「先週、静かに旅立たれました」
と聞かされたとき、私は涙が出そうになった。長い会話をしたわけでも、特別な思い出があるわけでもない。でも、心が通じたと感じたあの時間は、私にとってとても大切なものであり、彼にとっても、少しでも穏やかな時間になっていたと信じたい。この経験を通して、私は福祉の本当の意味を知った気がする。福祉とは、特別な人がすることではない。誰かの気持ちに寄り添い、その人の人生にそっと関わること。それは、私たち一人ひとりにできることだ。福祉とは人を助けることではなく、一緒に生きることなのだと思う。これからの社会は、どんどん高齢化が進んでいく。介護や医療、地域の支え合いがますます大切になる中で、福祉は誰にとっても無関係なものではない。私自身も将来、誰かに支えられ、また誰かを支える立場になるかもしれない。だから私は思う。人と人が向き合い、心を通わせること。それが福祉の原点なのではないか。たとえ言葉がなくても、ただそばにいること、手を握ること、目を見て微笑むこと。その一つ一つが、誰かの心を支える福祉なのだと、私は信じている。

表示:PC